2011年12月号
生活習慣病の予防、改善に運動の習慣が良いことはよく知られています。運動することで内臓脂肪が減り、血圧、血糖、中性脂肪、コレステロール等が低下し、心肺機能は向上、骨や筋肉も強くなり、老後の寝たきり予防にもなります。
患者様に『何か運動なさってますか?』と聞きますと、『そうですね、犬の散歩ぐらいですかね。』と答える方がよくいます。犬の散歩は運動ですか?と健康運動指導士の方に聞きますと、犬の散歩なんて運動には入りません。とはっきり言われます。
健康に良い運動は、運動強度が低~中等度の有酸素運動です。具体的には、ウオーキング、ジョギング、サイクリングなどです。これらの運動を1日30~60分、週3回以上行うのが良いと言われています。運動の強さの大まかな目安は運動時の脈拍を測定して判断できます。自覚的には少しきついかなと思うくらいの運動強度が適当といわれています。
適切な運動強度での脈拍(大まかな目安) | ||||
年齢 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 |
脈拍 | 130前後 | 120代 | 120前後 | 110代 |
たしかに、犬の散歩は、愛犬がくんくんしているのとか、用をたしているのを見ながらゆっくり歩きます。このような犬の散歩の運動量では、検査値の改善、体重減少も難しいでしょう。
しかし、間接的な効果もあるように思います。かわいい犬は飼い主に癒しをもたらします。また、朝の散歩があると、あまり遅くまで寝ているわけにはいきませんので、朝夕の散歩は、飼い主の規則正しい生活にもつながります。愛犬の健康を考えると、食事のとり方も規則的にして、飼い主も間食等は慎まねばなりません(少なくとも愛犬の前では)。つまり、愛犬の健康管理は、飼い主の、自分の健康管理にもつながっているのです。