2015年02月号
脳卒中とは脳出血、脳梗塞、くも膜下出血などをいい、生命に危険があるばかりではなく、良くなっても半身麻痺などの重篤な後遺症を残すことがある疾患です。脳卒中は現在死亡原因の第4位ですが、寝たきりで介護が必要な方の原因としては第1位で、約30%前後を占めています。
私達は、高齢になっても自立して生きて行きたいと思いますが、その意味でも脳卒中は最も予防したい疾患です。
では、どのような方が脳卒中になりやすいのでしょう。疾患になりやすい要因、危険因子(リスクファクター)として、高血圧、糖尿病、脂質異常症、飲酒、喫煙などが言われています。最初の3疾患は生活習慣病とよばれ、内科医院に通院している大部分の方が該当するかもしれません。
無症状の方が多く、何のために薬を飲んでいるのかと疑問に思い、途中で内服を中断したり、通院を止めたりする方もおられます。
血圧が高い、コレステロールなどの脂質が多い、血糖値が高いなどの状態が長く続いていると、血管が詰まったり、裂けたりというようなトラブルが多くなります。
脳の血管に起これば、脳卒中です。これら3疾患を治療する目的は、将来に起こるかもしれない脳卒中などの重篤な合併症を予防するためだということをしっかり意識しておくことが大事です。
喫煙(タバコ)の害は、がんになりやすいばかりでなく、善玉のHDLコレステロールを低下させるなど、さまざまな機序で動脈硬化も進展させます。
また、くも膜下出血のリスクは、喫煙で3倍に増えるといわれています。飲酒(アルコール)は少量なら良いといわれますが、毎日飲まれる方は、過量になっている方がほとんどで、高血圧の原因となり、ひいては脳卒中につながっていきます。
心房細動という不整脈を持つ方も、心臓の中にできた血栓が脳に飛んで脳梗塞(脳塞栓症)を起こすことがあり、最近この病態の方が増加傾向です。
従来はワーファリンという薬を内服して血栓を予防していましたが、今は、より副作用の少ない新規経口抗凝固薬が主流となってきています。
今年から、きっちりと脳卒中のリスクファクターをコントロールしましょう。