2017年07月号
従来、慢性気管支炎とか肺気腫と呼ばれていた疾患を2001年頃からCOPDと総称するようになりました。タバコ煙を主とする有害物質を長期間にわたり吸入暴露することにより生じる肺の炎症性疾患であります。肺胞の壁が破れ、気管支も狭くなります。気管支に痰がたまり、空気が通りにくくなります。慢性的な咳、痰、息切れ等の症状が特徴です。
メタボリックシンドローム(メタボ)は、近年、生活習慣病の代表として、認知率が非常にアップしましたが、COPDを知る人はまだ少ないようです。
日本では、推計患者数500万人以上と考えられますが、治療を受けている患者様は約26.1万人で、認知率が低く、過少診断、過少治療の状態であるといわれています。
COPDは、平成27年度の日本における死因順位10位で、着実に死亡者数が増加しています。呼吸器、肺の疾患ですが、他疾患を併発することが多いので、全身の疾患として考えた方が良いともいわれています。
死亡原因として重要な併発疾患は、心血管疾患(虚血性心疾患、心不全、心房細動)と肺がんです。
近年、長時間作用型気管支拡張薬の開発で治療が改善してきました。しかし、進行性の疾患であり、重症になると、最後は酸素療法が必要になります。
肺の状態が悪くならないように、インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンの接種も忘れてはいけません。肺がん検診も定期的に受ける必要があるでしょう。
生活習慣病ですので、予防ができます。なんといっても、禁煙が重要です。
近年、電子タバコの普及で、喫煙事情が複雑化してきました。
電子タバコには主に2つのタイプがあります。
①タバコの葉を加熱して蒸気を吸い込むタイプのもの(IQOS、プルーム・テック等)は、ニコチンを普通のたばこと同様に含みますが、火を使用しないので煙、灰の発生がないため、タール等の発がん性物質の発生が少ないと、クリーンイメージで売られています。しかし、基本的には、健康に対し通常のタバコと同じと考えてよいでしょう。
②もうひとつは香りや味をつけた液体を加熱して蒸気を吸うもので、日本製のものはニコチン無しなので、禁煙に使えるとも言われています。
しかし、外国製には、ニコチン入りのもの、有害物質の入っているものもあり、要注意です。