2012年01月号
1. アルコールをたくさん飲むと体に悪いことは、皆様知っておられます。
肝臓、膵臓が悪くなることがあるとか、精神的にアルコール依存症となってはまわりの人も大変だとか、です。大腸がんや食道がんも増加するとの疫学研究結果も発表されています。
一方で、酒は百薬の長という言葉もあり、適度の飲酒は体に良いとの説があります。実際、少量の飲酒をする人のグループで虚血性心疾患(心筋梗塞)の死亡率が低いというデーターが発表されています。
では、少量とはどのくらいでしょうか?私たちが調査した結果によると、健診でほとんど異常がない人の飲酒量は、日本酒で換算して1日1合未満でした。したがって、1日平均1合以上の飲酒習慣のある方は、中年以降になると健診でなんらかの異常がある場合が多いといえます。
すなわち、健康に良い(害のない)飲酒量は日本酒で1日1合未満程度と思われますが、いいかえると、この量は毎日飲酒しない人の量のようです。毎日飲酒する方は、アルコールが好きな方ですので、ほとんどの場合1杯で済まず、2杯以上飲まれる方が多いようです。このため、アルコールを減らす手段としては1回の飲酒量を減らす事は困難で、始めから飲まない日(休肝日)を作る方が実行しやすいようです。
2. 血圧とアルコール
アルコールを飲むと直後の血圧は下がります(急性効果)、しかし、毎日飲酒を続けると、だんだん年齢と共に日頃の血圧が高くなり、高血圧の方が増えてきます(慢性効果)。飲酒量と脳卒中の頻度は比例関係にありますが、原因は高血圧が増えるためです。アルコールは高血圧の原因の一つであり、アルコールを減らせば血圧は下がりやすくなります。
3. 糖尿病とアルコール
糖尿病の方に、甘いものをよく食べる方とアルコールをよく飲む方の2つのタイプがおられます。アルコールをたくさん飲むと、通常の食事の量が多くなったり、食事内容のバランスもみだれ、血糖が悪化する例が多いようです。アルコールにもカロリーがありますので、カロリーオーバーになります。
種類 | 量 | カロリー |
日本酒 | 180ml(1合) | 200kcal |
ビール | 350ml/500ml | 140kcal/200kcal |
焼酎 | 100ml(1杯) | 140kcal |
ウイスキー | 60ml(1杯) | 140kcal |
ワイン | 120ml | 90kcal |
アルコールは、少し、時々、楽しくがいいですね。